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第69回 WebOSの時代
 

 

●サーバ上にあるPC環境

  「WebOS」「仮想Windows」などと呼ばれている環境があるのをご存知だろうか?
  かなり前からある仕組みなので、よく知っている人は知っているものなのだが、1Mbps以上でネットからサーバにアクセス出来る環境が当たり前になってきた現在、やっと脚光を浴びるようになってきた環境だ。

  簡単に言えば、自分のPCからあるURLにアクセスすると、そこに新しいPCのウィンドゥが現れ、そこは、ネットの向こう側で動いている、「サーバ上にあるPC環境」になる、というものだ。

  仕組みはあまり難しくない。現在のWindowsなどのGUIを持ったOSは、キーボードやマウスの動きをOSで一度捉えて、それをアプリケーションプログラムに送る。また、逆にアプリケーションプログラムがウィンドウに対して行っている操作も、アプリケーションプログラムからOSへの「命令」によって、OSが描いているものだ。だから、その両方向のデータのやりとりを途中で切って、インターネット上に流す。すると、指定されたネットのあちらとこちらで、画面と実際に動くプログラムが切り離されることになる。こんな仕組みなのだ。

●X-Windowからの派生

  古くは、もう20年近く前にできたUNIX用の主流となったWindowシステムである「X-Window」が、できた最初の頃から、この仕組みが使えた。WindowsやMac-OS上のこれらの仕組みは、このX-Windowの仕組みをまねしたものだ。

  これらのシステムは、企業内システムなどでは「シン・クライアント(Thin Client)」として既に知られているものだが、ネットのブロードバンド化で、高速な回線が安価に手に入るようになり、さらに、Active-XやJava、AJAXと呼ばれる環境が当たり前になってきたため、この仕組みを現実のPC環境にする、という試みがあちこちでされはじめた。

●シン・クライアント(Thin Client)のメリット・デメリット

  現在まだ一般向けの正式なサービスはないが、これが一般化すると、以下のようなメリット・デメリットがある。

シン・クライアントのメリット
1.高価なオフィス・スイート環境などを安価に時間貸しなどができる
  よくあるシチュエーションとしては、プレゼンテーションソフトでしか開けないファイルをもらったのだが、プレゼンテーションソフトを持っていない。今後、多く使うこともない。だから、今だけ使いたい、という場合など。
2.PC側のセキュリティ対策がラク
  ウィルスのセキュリティなどはサーバ側で気にすればよく、PC側で気にする必要がなくなる。
3.データ消失の可能性が低い
  たとえば、表計算ソフトウエアのデータをPC側で持っていなくてよいので、PCが突然のアクシデントで壊れても、問題ない。
4.操作記録の一括管理
  誰がどんなPCの操作をしたか?という記録を、サーバ側で一括管理できる。

 

シン・クライアントのデメリット
1.常にオンラインの環境でなければ動かない。
2.ソフトウエアのライセンスの問題が複雑になる。
3.遅い回線だと動作がもたつく。

 

これらのメリット、デメリットを考慮したうえ、このWebOS環境は、当分のあいだオフラインとオンラインの両方の使い分けを前提として普及することになるだろう。

●具体例

  また、この仕組みを前提とした、国境を越えたさまざまなサービスが展開される可能性もある。そうなると、PCもこの環境に特化したものが現れる可能性だってあるだろう。

  英語環境だが、現在は以下のサービスが公開されている。

  YouOS
  ajaxOS

 

 

 
     
   
  ※ここでは、このコラムの著者三田典玄氏が撮影された写真の中から、著者選りすぐりの作品を毎回数点ずつ掲載しています。  
 

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