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第8回 IT業界のルーツとは?
 

 

◎ITということばが無かった頃

もともと、コンピュータは日本語で「電子頭脳」とか「電子計算機」と言いました。もう30年以上前の話です。

つまり、高度な意味としては「人間の脳に代わるもの」という意味ですが、ごく実用的な意味としては「計算機のお化け」だったわけです。つまり、現在のように「通信機能」などが強調されることがありませんでした。それが、1980年代に「パーソナルコンピュータ(PC)」が出現したことによって、コンピュータの世界は一変しました。

コンピュータは研究所や学校、企業などに置かれる大きなものだけではなく、自分の足や手の変わりに使える、手軽なものになったのです。当時はPCを「知的自転車」と表現する人たちもいました。

◎PCと表計算ソフトウエア

PCが出始め、それが世界に広まったのは「表計算ソフトウエア(今の製品で言えばMicrosoftのExcelなど)」の出現でした。

米国では税金の申告、計算をどんなサラリーマンでも自分でやらなければなりません。毎年、その計算の面倒臭さは、どこからも聞かれることでしたが、このソフトウエアは、そういう一般の人たちの面倒な計算を一気に楽にしました。

これが、まず米国でPCが流行した原因です。最初に多くの人の認知を得た表計算ソフトウエアはApple社製の「Apple II」コンピュータ上で動く「Visi Calc」というソフトウエアでした。今でも、ExcelはWindowsの主要なソフトウエアであり、また、WindowsのAPI(Application Programing Interface - Windows上のプログラムを統一的に動かすしくみ)は、表計算ソフトウエアが作りやすいように作られています。
つまり「PCとは表計算ソフトウエアの動く機械」として、最初に公衆の認知が行われた、と言えると思います。

◎そしてインターネット

1990年のちょっと前になると「データ通信」が脚光を浴びる様になりました。

「パソコン通信」というものが流行し、モデムで電話線をデータ通信用の線として使い、それをどこかにあるホストコンピュータという大きな「サーバ」につなげ、メールのやりとりなどが可能になりました。
また、プログラムなどもデータとしてメールや掲示板でやりとりができるようになったため、この頃、コンピュータウィルスも出現しました。

そして、その後にTCP/IPがだんだん一般的になっていきましたが、1993年に初めての「ブラウザ」が出現し、いよいよインターネットの普及に拍車がかかるようになりました。つまり、ブラウザが出現して、今年はちょうど10年目なのです。

現在のNiftyはこの時代からパソコン通信のホストとして「Nifty Serve」という名前で出ていました。このパソコン通信の元となるホストを運営した会社は米国の「The Source」「Compu Serve」でした。
今はその会社はもうありませんが、このうちNiftyはCompu Serveと提携して「Nifty Serve」の名前がつきました。

私も、日本の代理店を通してThe Sourceに入会して、米国まで国際電話でつなげてデータ通信をしたことがあります。当時は「つながった!」というだけで大きな感動があった、という時代でした。

◎Windows95現る

1995年12月27日、Microsoft社のWindows95というOSが発表されました。

それまでは「インターネット」も「パソコン」も、ほとんどマニアのオモチャにちかい、ある意味扱いにくく、とっつきにくいものでした。しかし、このときを境に、「誰でもPCくらいは使えなくては」という世の中になりました。実際、PCの普及率はこのときを境にぐんぐん伸びていきました。

日本では土地バブル崩壊後から既に5年が経ち、「次の景気刺激」を探しているところでしたし、これは 米国でも事情が同じでした。そして、2000年の4月まで、「インターネット」「PC」のバブルが続きました。

Windows95はそれまでのPC用のOSとは違い、インターネットに接続したり、社内のLANに接続するときの「ソフトウエア」を最初から含んでいる(つまり無料で使える - それまではTCP/IPのソフトウエアは非常に高価だった)ところと、それまでにない安定したPCの動作をするところに特徴がありました。
もっとも、日本のPCジャーナリズムはWindows95の持つ「ネットワーク」の機能がいかに世の中を変えていくか、ということには気がつかず、最初のうちはそのGUIの画面がいかに使いやすくなったか、などの、ある意味、よく見えるところではあるけれど本質からは遠く離れたところしか見えていませんでした。

その当時、私とある編集者はWindows95のベータ版を手に入れた95年の中ごろからそれに気がつき、Windows95発売と同時に「Windows95ネットワーク読本」という、Windows95のネットワーク機能に絞った解説書を出しました。もちろん、この本はかなり売れて、他の会社が後を追いかけたのは言うまでもありません。

◎そして「インターネットが普通」の時代に

それから既に7年の歳月が流れましたが、世界的にインターネットの広まりはとどまるところを知りません。

インターネットでは最初はホストコンピュータ同士を結ぶ、ということが主眼だったわけですが、いまや一般に使われているPCは20年前のホストコンピュータくらいの速度と容量を持つに至りました。つまり、世界中に多くの高性能なコンピュータがちらばっている、というイメージです。

かつてのような「ダイヤルアップ」接続ではなく、今やADSLなどの高速で常時接続されている環境が普通になりました。そして、ご存知のように「P2P」が流行しています。

つまり、もうホストコンピュータもなにもない、全部のコンピュータが並列につながってしまう、という時代を迎えました。そして、グリッド、クラスタリング、P2Pといった、新しい時代のインターネットのキーワードが私たちの前をちらちらしています。コンピュータとネットワークがひとつになったキーワードとして「IT(Information Technology)」が聞かれるようになったのはこの頃です。

20年以上前からのコンピュータとデジタルコミュニケーションの歴史は、ネット上のコンピュータの「並列化」によって、さらに新しい時代を迎えるように思います。また、新しい勉強が必要ですね。